黒鉄ヒロシ作「幕末暗殺」について

さて、今回はいつも執筆している内容と趣向を変えて、私が人生においで影響を受けた一冊の漫画についてご紹介します。
それが、ニュース番組のコメンテーターでもお馴染みの漫画家、黒鉄ヒロシ先生渾身の一作、幕末暗殺というモノです。
 こちらの作品はタイトルの示す通り、井伊直弼が殺害された、桜田門外の変などの有名どころから、青侍の島田左近、宇郷玄蕃頭などの少々マニアックな事件など幕末の様々な暗殺事件がこの一冊に凝縮されています。
教科書で暗殺事件を紹介する際には、桜田門外の変など大規模で歴史に多大な影響を与えたモノしか紹介しないため、どうも興味が湧かないのが欠点ではありますが、この幕末暗殺にかかれば、どんどん頭の中に入っていく。
しかも、黒鉄ヒロシ先生お得意のユーモアと茶目っ気溢れる場面が所狭しと織り交ぜられているのです。




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いくつか、例に挙げると、文久2年(1862)1月15日に発生した徳川幕府の老中、安藤信正(あんどうのぶまさ)暗殺未遂事件である、坂下門外の変では、被害者である安藤信正がなぜ暗殺されそうになったかは、ナレーションで済まされ、(当時の信正は、井伊直弼暗殺や諸外国との条約締結などで権威が失墜していた当時の幕府の威厳を保つため、ときの帝である孝明天皇の妹の皇女和宮と、14代将軍徳川家茂の婚姻による公武合体を推進していたが、それに尊皇攘夷派が反発し、今回の事件が企てられた。)
暗殺者の一人が刻限に間に合わなかったのがわざわざ一コマ使って表されるこのナンセンスぶり。
秀逸です。
その次に紹介するのが坂下門外の変から5年後の慶応3年(1867)に発生した、兵学者の赤松小三郎暗殺事件では、赤松小三郎の写真が見つからず、顔が分からないから描けないという理由で名前が似ているというだけで赤松大三郎の顔を拝借しようとして、赤松から怒鳴られるという茶番から始まり、本筋である暗殺事件を描いたところで終わるかと思えば、最後の最後で赤松小三郎の写真が見つかったことが原稿の締め切り後に発覚したとわざわざ最後に持ってくる。
実にアカデミックなギャグを入れてきます。
この二つのような事件紹介の他にも幕末四大人斬りと謳われた河上彦斎岡田以蔵(肖像画も写真もないとはいえ、かなりブサイクに描かれている)、田中新兵衛、中村半次郎(桐野利秋)などは個別に特集があり、四人の人となりがギャグもありながら詳細に描かれています。
このように幕末の歴史をこれ一冊で布団に寝ころがりながら学べる、秀作。
歴史好きな皆様、受験生の皆様にオススメです。
是非ご一読を。
今回もご覧下さり、ありがとうございました。
お相手は、カサドーラ式ショーイチでした。
他の記事もお楽しみに。

(寄稿)リストクラッチ式ショーイチ

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